イスラム教と聞いて「ラマダン(ラマダーン)」を思い浮かべる方も多いと思います。ちょうど現在はラマダン月のためニュース等で目にした方もいると思いますが、よくわからないという方もいると思いますので、簡単ではありますが取り上げてみようと思います。
ラマダン=”断食”の意味ではない
イスラム暦(太陰暦)の9月の一ヶ月間をラマダン月と呼ばれ、コーランの中の五行の一つである「断食(サウム)」を義務付けられています。ですので正確にはラマダンは断食という意味ではありません。太陰暦は太陽暦と比べて一年が約11日短いためラマダン月は毎年変わります。その期間は、夜明け前から日の入りまでは食事、喧嘩、喫煙さらには性的な欲求も禁じられています。もちろん水やジュースも。敬虔なムスリムにいたっては、唾を飲むことさえもしないそうです。
日没後
日中は飲食が禁止されていますが、日没後は許されます。その日没後の最初の食事は「イスターフ」と呼ばれます。基本的にこの期間の夜はお祭りのように賑やかで、皆で食事を囲むことが良いとされているため、家族と親戚が集まって食卓を囲んだり、企業の社長が従業員のために食事を提供したり、炊き出しのような無償で食事を提供する場所もみられます。イスラム教においては、富を得た者が持たない人達に分け与える「喜捨」という考え方も五行の中に含まれている通りとても大切な行いです。経済的な統計としても食品や日用品の消費額は増えるようで、スーパーやデパート等で特売セールを行なっています。
苦行ではないのか?
なぜ断食や斎戒を行うのでしょうか?ムスリムの方に質問したことがありますが、”アッラーが決めたことだから”という答えが返ってきてものすごく納得した記憶があります。宗教の本質とはそういうことなのだと。様々な理由があるのかもしれませんが、皆苦行として捉えてはおらず、ラマダン月が来ることは不変なことであり、どこか楽しんでいる節もある気がします。また、ムスリムの信仰心も一段と深まるとも言われています。一度、日没前にだらだらとムスリムの友人へ連絡をとって話をしていると不機嫌になっていることがわかり、ラマダン期間中であることを思い出し慌てて終わらせた記憶がありました。もちろん怒ったりすることはありませんでしたが悪いことをしたなと今でも反省しています。また、全ての人が断食を行わなければいけないのかというとそういうことでもありません。妊婦や子供、病気の人や旅行者も行わなくてもいいとされています。また、どうしてもできなかった場合はまた別の日に改めたり、喜捨を行いなさいと救済の方法も与えられています。